続moss

「コケ」という言葉は一般にはいろいろな植物群のものを含めて、小さくて、あまり目立たないものを総称している。(井上浩『フィールド図鑑 コケ』東海大学出版会、1986)

大学で受けた講義の内容は、当時はそういうものかと額面どおりに受け取っていたけれど、いまになってそれがどういう学術的な場のどの立場から出たものなのかということが察せられるようになってきた。なにもその学んだ内容が恣意的だったとか浅はかだったとかケチをつけたいわけではなくて、むしろそうした個人の立脚点がうかがえないような知見はつまらないはずだと思う。講じられた知見がいったん絶対的なものとして受け取られ、それが様々な経験を経て相対化されることは、ずっと絶対的なものとして受け取られ続けることとも、はじめから相対的なものとして受け取られることとも違う意味があるだろう。教育的なと言ってもいいかもしれない。